エムズ通信 Aimss Journal

「鬼門」は設計者の鬼門

施工現場日誌

こんにちは、スタッフの吉田です。

今回のテーマは「鬼門」です。

「鬼門」という言葉を聞いた事がありますか?「ここが鬼門だ」など苦手という意味でも使いますよね。
本来は鬼という字があるように、鬼が出入りするとされる不吉な方角のことを意味しています。

では、家をつくる時にも「鬼門」を避けて家相に合った間取りにした方がいいのでしょうか?
これは、お客様はもちろん私たち設計者も含めとても悩む問題です。
特に家相にこだわっているわけではないけれど、知ってしまうと何となく気になる、不安になるという方も多いことでしょう。

 

鬼門にNGな間取りは?起源は中国にあり。

鬼門とは北東の方角、裏鬼門とは南西の方角、を意味しています。

家相ではその方位に玄関や窓、トイレなどの水回りを作ると、家の中に悪いことが起きるとされています。ではなぜ、北東と南西なのでしょうか? 

その源となったのは、古代中国の情勢と地形です。当時の中国の都の北東と南西には強大な敵がいて、また南西からは強風が吹いてくるという状況にありました。

つまり鬼門は「外敵」と「強風」がやってくる方角だから、そこには開口部や水回りを作らないようにしたということです。

実ははその考えは家を建てるのに理に叶っていました。

昔の家は今の家ほど性能も良くないし衛生面でも今程良くはなかったので、家の北東に水まわりがあると湿気でジメジメしていました。そこから疫病なんか発生し住んでる人が不幸に・・・ということも。

他にも台所を南西に持ってくると冷蔵庫の無い時代に家の南西に食べ物を置いてるとすぐ腐ってしまう。ということも裏鬼門に台所をもってこないという家相に合っているといえますね。

 

 

家相に合った家にしたほうがいい?

では、鬼門を避けて家相に合った家にした方が良いのでしょうか?

今は昔と状況が全く変わってしまいました。断熱性や衛生面でも昔とは比べ物にならないほど性能が高くなった現代の家では、トイレが北東にあっても気になりませんし、台所だって暗い北側より南側で明るいところならうれしいくらいです。

また、現代の家を建てると玄関や窓は自然と鬼門の方角を向く間取りになりがちです。

というのも、明るい南側にリビングや部屋を作る間取りが人気のため、水回りを北側にまとめるプランが多くあります。そうなれば、トイレかお風呂か洗面所か、水回りのどこかが鬼門である北東の方角にかかってしまうケースが少なくないのです。 

たとえばこちらの間取り↓を見てみると、

 

玄関は鬼門を外して南東に。水廻りも北にありますが、北西なので家相的には全く問題のない理想の間取りといえます。

しかし、この間取り。玄関と水廻りは必然的に離れるため無駄に水廻りに行くための廊下ができたり、帰宅時の手洗いまで遠くなる、というデメリットが。また一番滞在するLDKが真ん中に縦長の形となり、採光は二面のみとなります。

一方こちらの間取り↓だと、

 

鬼門の範囲に水廻りが入りますが、玄関ホールから近く、廊下が無いので無駄がありません。
LDKも3面外壁に面しているので明るくなります。

このように、鬼門を外すことで家相はよくなりますが、間取りの自由度は下がります。

家相に合わせた間取りと、使い勝手を優先した間取り。どちらがいいかは、結局家相を信じる、信じないの話なので、やはりお客様が家相や風水にどこまでこだわるかというところになります。

 

心得ておきたい大切なこと

ここからは私の個人的な考えなので大変恐縮なのですが、

家相に合わせるのがメインで使い勝手の悪い変な家になってしまっては…なんだか残念な気持ちになりませんか。

都市部は特に土地も細切れ、整形でない場合もありますし、東西南北に平行な土地は少なく傾いている場合がほとんど。そんな中で一言でどの方角が良い悪いよりも、それぞれの土地の長所と短所を見極めた上で家を造る事が重要になってくると思っています。

 
「家相」は元をたどると、そこで暮らす人や家族が幸せになるための物。
「玄関だけは鬼門を避けよう」などある程度は家相に配慮しつつも、それにとらわれ過ぎず、設計者としてお客様が過ごしやすい家を建てることを一番に考えていきたいと思います(^^♪

 

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