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通気構造と施工性から考える外壁下地

家づくりのこと

こんにちは、スタッフの吉田です。

外壁と言えば、仕上げの材料に目が行きがちですが、その下地となる「胴縁(どうぶち)」の貼り方も、住まいの性能や施工性に大きく関わる重要なポイントです。

今回は、外壁リフォームや新築施工時に使われる「胴縁の横張」と「縦張」それぞれの特徴について、通気性・施工性・対応可能な外壁材などの観点からご紹介します。

 

●胴縁とは?

胴縁は、外壁材を固定するための下地材で、柱や間柱の上に取り付けられます。
その役割は単なる下地にとどまらず、胴縁間にできる空間は「空気の通り道」としても非常に重要です。

建物の下部、基礎の上あたりから取り込まれた空気はその胴縁の間の空間の中で上昇し、屋根の軒天や棟から排出されます。
この通気によって、湿気によるカビや腐食を防ぐとともに、風が熱を逃がすことで熱射対策にもなります。

 

 

そんな大切な役割を持つ胴縁ですが、縦に貼るか横に貼るかによって、住まいの性能や施工性が大きく変わってきます。
張り方向は、仕上げの外壁材の貼り方に応じて決まります。

基本的には、
・ 外壁が横張りの場合 → 胴縁は縦張り
・ 外壁が縦張りの場合 → 胴縁は横張り

となります。

 

 

●縦胴縁(たてどうぶち)の特徴

①通気構造を確保しやすい
なによりのメリットがこちら、胴縁の間に縦方向の空気の通り道(通気構造)を確保できます。
湿気が上方向に抜ける自然な流れを作りやすく、外壁の耐久性向上につながります。

 

 

②横張りの外壁材に対応
一般的な窯業系サイディングなど、横方向に施工する外壁材に適しています。
ガルバリウムなどの外壁ですと、水平ラインで安定感のある印象となります。
建物がどっしりと見え、落ち着いた雰囲気を演出します

③施工手順が安定している
柱に対して垂直に胴縁を取り付けるため、施工精度を保ちやすく、仕上がりも安定します。

 

 

横胴縁(よこどうぶち)の特徴

①通気構造が確保しにくい
横方向に胴縁が連続することで、縦方向の空気の流れが遮られやすくなります。
封じ込められた空気は滞留してしまい、湿気を逃がすことができません。

 

 

通気層を確保するには、空気の通り道を遮らないよう空間を開けるなどの工夫が必要です。
それでも縦胴縁に比べると通り道が狭いため空気は滞留しやすくなります。

 

 

他に通気を確保する方法としては、縦胴縁の上から横胴縁を施工する「二重胴縁」といった方法もございます。
先に取り付けした縦胴縁の部分で空間を確保しているため、空気が通り抜けます。

 

 

②縦張りの外壁材に対応
サイディングなどを縦方向に施工する際に使用されます。
シャープでモダンな印象を与える縦張り外壁に適しています。

③手間がかかるためコストがかかる
通気対策や外壁材との相性によって、施工手順が複雑になることがあります。
先程の二重胴縁も一重に比べると手間がかかるため、コストも上がります。

 

 

以上、胴縁についてご紹介しました。

通気性や施工性の面では、縦胴縁による通気構造の確保が理にかなっており、住まいの耐久性にもつながります。

とはいえ、外壁の仕上がりは住まいの印象を左右する大切な要素。外壁はシャープな印象となる縦張がお好みの場合もありますよね。

設計段階からじっくり検討を重ね、張り方向や外壁材の選定においては、好み・性能・コストなど、何を優先するかをご自身の価値観に合わせて選べると理想的ですね。

ぜひ今回の記事を、外壁計画の参考にしていただければ幸いです。

 

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