築50年をこえるM様より雨漏り改修工事の依頼をいただきました。
さっそくお伺いしてみるとあちらこちらと雨漏りで大変な様子。
「今までにも何度か防水工事をしたけれど雨漏りが止まらない」
といいます。
確かに状況はかなり悪化しています。
天井は湿気でカビがいっぱい。
これはかなり手ごわそうです。




屋上の状況調査

以前に防水工事をしたのは12年ほど前。
アチコチに雨漏りの原因となるようなカ所は見られます。
M様邸は鉄筋コンクリート造りです。
鉄筋コンクリートの場合雨漏りカ所の特定は難しいものです。
というのも、スラブ床コンクリートの上に防水工事をしてその上に保護モルタルと
いって防水層を保護する目的で一面、セメントモルタルで覆っています。
なので、防水層の傷んでいるカ所も表面からは見えません。
表面のモルタルがひび割れが見られ雨漏り原因はココと思えども、その下にある
防水層の不具合とは違った位置にあることも多いのです。
結果、鉄筋コンクリートの場合は全面的に防水工事の必要があります。
雨漏りを防ぐにはどんな小さなカ所も見逃せません。
大雨、台風など強風、風向きによっても1カ所を見落とすことによって雨漏りが
止まらないということにもなりかねません。
細心の注意をして施工します。



防水工事の完成


ある日の大雨、M様より「大変!大変!家の中、アチコチから雨漏りしている」と
電話をいただきました。
私はこれだけ防水工事をしているのに「なぜ?」と疑問に思いながら現場に駆け付けました。
見ても防水施工は完璧です。
・・・・・
調査することしばらく。
原因の推測がつきました。
屋上の排水口から水を流せば部屋に水が漏りはじめました。
そして、排水口の中をのぞけば水が溜まっています。

雨漏りの原因の推測
1.排水のつまり(確信)
(M様邸は田園地帯にあるので土埃が多い)
2.屋上の排水口、雨水の流れ落ちるところ”ドレン”と言いますが、このドレンと
家の中での接続が上手くいっていないのではないか??
この2点です。
まず第一には排水のつまりを解消しなければいけません。
さっそく専門業者による作業にかかります。
排水落ち口は5カ所あります。
結果
ヘドロがたくさん詰まっています。
これでは十分に流れないはず。



ここ1カ所は洗浄管も通らないほどのひどい状態
外のコンクリートを壊して排水管を見える状態にします。
配管状態も最悪。
排水管を出口で90度に曲げて、またすぐ90度に左右に曲げています。
これでは詰まるはず。
パイプをカットして洗浄管を入れます。


予想通りヘドロが詰まっています。
計5カ所の排水パイプの掃除が完了して水はスムーズに流れるようになりました。
もう一つの原因と思われる所、排水管の接続。
これは天井をめくらなければいけません。
もし、推測が違っていればM様に迷惑をかけることになりますので慎重に・・
でも、決断。
「排水管の接続が悪い」とします。
さっそく天井をめくってみれば



予測は当たっていました。
本来であれば屋上のドレンから流れる排水管と家の中を通る排水管とはガッチリ
と接着していなければいけないのにできていません。
写真のような受け口で受けてから排水管を流れるようになっています。
屋根のトイ受けのような状態。
これが家の外であればパイプが詰まってもあふれ出た水は外に落ちるだけなので
問題ありませんが。
ここは家の中。
この受け口はドレン排水管と密着していないので家の排水管が詰まれば水が上っ
てきて、結果この受け口からあふれ出るようになります。
この状態であれば排水管の詰まりがなくても集中豪雨などの大雨時、台風時には
排水管の径が小さいので雨水が流れ切らずにあふれ出ることにもなります。
対策はドレンからの排水管と家に中の排水管を接着します。


これで雨水もあふれ出すことなく安心です。
以後、M様には50年来続いてきたであろう雨漏りからは解放されることと思います。



