昔、母より「物を粗末にせられんでよ」とよく聞いたことを思い出します。
この度のドイツ、スイスの研修ではそんなことを強く感じました。
研修の学びは大きく分けて3つ。
1、家づくりの元である森を大切にし持続可能な森づくりの取り組み。
2、建物を長く大切にする。
3、環境への配慮
このことを大切に考え生かすことが私たちの幸せにつながり、大きくは私たちの住んでいる地球を守るということに
なるのでしょうか。
「黒い森」という怖そうな名前の森に行きました。
林業家は信念を持って仕事をしている様子が奥深い森の中での見学を通じてよくわかりました。
「100年先を見て、今を行動して10年、20年、30年と計画し、見通しを立てる事が大切。
今この木を育てて収益をあげるのは孫やその次の世代。
目先の収益にとらわれれば森を育てることはできない」といいます。
森がいつまでも豊かであるためには長期の計画が大切。
南西ドイツの山岳地域シュヴァルツヴァルトの森林官ランゲ氏は「その為に守らなければならない大切なことが3つある」と
いいます。
1、林道の確保
木を育てることや成長した木の伐採・搬出などの管理道として大切な事。
2、間伐
皆伐はしない。
日本で木の伐採といえば、ある一定の育った木を辺り一面切り倒して、はげ山になっている光景を
よく見ますが、これをすれば一面はげ山になり、最近の豪雨でもよくあった山の崩落、災害を大きくすることになると
いいます。
山が荒れて、人災にも繋がり、下流の町にも被害が及びます。
こうしたことを防ぐためにも、また、収益性を高める林業とするためにも将来的な計画の元、
育てる木を決め、その周りの雑木を除いていくことが大切です。
この時に必要なことは森に適度な光が届くような伐採の仕方をするということ。
適度な光が地面に届けば子供の木が成長を始めます。
この小さな子供たちが将来に立派な大木に育っていきます。
3、狩猟
小さな木は鹿などに食べられます。
木が成長するまでに、そういった被害をなくすためにも鹿を駆除する必要があります。
森を育てるには長い計画が必要で、今の自分の収益のことでなく、将来の子孫の為に今、汗を流す。
また、何よりも大切なことはこうした林業を守る人を育てることだといいます。