大気が果たしている機能は、酸素と気圧の供給だけではない。
地球上の生命に不可欠の機能として、熱の平準化作用がある。
宇宙空間それ自体は生命にとってあまりに冷たすぎ、また、太陽輻射は
あまりに熱すぎる。どちらも人体がそれに直接さらされたら、即座に
死ぬことは必定である。
もし、大気がなければ、昼は灼熱地獄、夜は寒冷地獄となり、人間はと
ても生きてはいけない。実際、大気がない月ではその通りなのだ。
月の表面温度は、太陽に直射された部分は最高130度にも達するのに対して、
裏側の日陰部分は、最低、零下140度にもなるのである。
それに対して地球は、昼は大気の熱吸収によって太陽輻射が和らげられ、
夜は大気の保温効果によって宇宙の冷たさから守られる。
だから、地球上では人間が生きていくことができるのである。
著:立花隆 「宇宙からの帰還」より
大気あればこその地球環境。
近年、環境変化が顕著に表れていますが、かけがえなないこの地球を守る
ために私たち一人ひとりが行動していかなければならないことです。