エムズ通信 Aimss Journal

気密性の高い住宅ーその“静かなリスク”とは?

家づくりのこと

こんにちは、スタッフの吉田です。

「高気密住宅」という言葉は、近年の住宅業界でも頻繁に耳にするようになりました。

気密性とは、住宅にどれだけ隙間がなく、外気の侵入を防げるかという性能のこと。
断熱性や省エネ効果を高めるために設計されており、外気を極力遮断する構造になっています。

確かに、冬は暖かく、夏は涼しい──快適な住環境を実現する技術として注目されています。
しかし弊社では、その「高気密」の裏側に、見過ごされがちな健康・環境・心理面でのリスクが潜んでいるのではないかと考えています。

今回は、そのリスクについて、少し詳しくご説明させていただきたいと思います。

 

気密性が高いことのリスク

① 空気の循環が滞る

自然換気がほとんどできない高気密住宅では、空気の入れ替えがすべて機械任せになります。
その結果、揮発性有機化合物(VOC)や二酸化炭素などの汚染物質が室内に滞留しやすくなり、頭痛・倦怠感・集中力の低下など、体調不良を引き起こすことがあります。
室内の酸素濃度が下がることで、呼吸も浅くなり、知らず知らずのうちに心身に負担がかかっているのです。

新築の家に入ったとき、「ツンとしたにおい」を感じたり、「頭が痛くなった」という経験はありませんか?
その原因は、まさにこの揮発性有機化合物です。
実際、先日ある住宅会社の展示場を訪れた方から「頭が痛くなった」という声を耳にしました。
これも、室内に充満した化学物質が原因と考えられます。

 

② 湿気と汚染物質の蓄積

高気密構造では湿気が逃げにくく、結露やカビの発生リスクが高まります。
カビやダニはアレルギーや喘息の原因となり、特に子どもや高齢者には深刻な影響を与えます。
換気システムが不調になると、汚染物質が密閉空間に蓄積され、シックハウス症候群の温床に。

さらに、高気密住宅に多く採用される全館空調システム(全熱交換型)は、給気・排気ともにダクトを通して行うため、ダクト内部の清掃が困難という問題も抱えています。
ホコリやカビ、細菌がダクト内に蓄積しても、住まい手が気づきにくく、長期的には室内空気の質を悪化させる要因となりかねません。

↓全館空調システムのイメージ

 

③ 機械依存による不安定さ

高気密住宅では、換気や空調を全館空調システムなどの機械設備に全面的に依存することになります。
そのため、停電や機器の故障時には空気環境が一気に悪化し、室内の快適性や安全性が損なわれる恐れがあります。

また、フィルターの定期的なメンテナンスや電力消費も増えるため、ランニングコストや環境負荷が高まる傾向にあります。
自然の力に頼らない構造は、災害時のレジリエンス(回復力)にも乏しく、非常時にこそ不安が大きくなるのです。

さらに注意したいのが、故障時の修理費用です。
一般的なエアコンと比べて、全館空調の修理費は10倍以上になるケースもあり、万が一のトラブル時には費用負担が非常に大きくなることがあります。
便利さの裏にあるこうしたリスクも、家づくりの際にはしっかりと考慮しておきたいポイントです。

 

④ 心理的な閉塞感
外気とのつながりが遮断されると、自然の気配や季節の移ろいを感じにくくなります。
無音・無風の空間は一見快適に思えますが、感覚が鈍くなり、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されることもあります。
一方で、風が通り抜け、外とのつながりを感じられる住まいは、安心感や開放感をもたらしてくれます。

 

 

以上、気密性が高い住宅のリスクについてお話させていただきました。

気密性は、断熱や省エネのための技術的な選択肢のひとつに過ぎません。

人の健康や感性を中心に据えた家づくりでは、むしろ「適度な通気性」と「素材の呼吸力」が重要です。

エムズの自然素材の家は、空気を浄化し、湿度を調整し、五感を刺激する。そんな生きた空間をつくり出します。

家づくりを考える際には、ぜひこの「適度な通気性」と「素材の呼吸力」に注目し、心身ともに健やかに過ごせる住まいを目指していただければと思います。

 

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