こんにちは、スタッフの吉田です。
先日、「日本の家づくり再考ツアー」に参加し、伊礼智さんの建築をじっくりと体感してまいりました。
実際に空間に身を置いてみると、写真や図面では分からない“空気の質”のようなものが伝わってきて、どの建築も本当に心地よく、深く感動しました。
特別に奇をてらったことをしているわけではなく、とてもシンプルな手法の積み重ねで豊かな空間が生まれているということに驚きました。
「これなら私たちエムズの家づくりにも生かせる」
そう思える学びがたくさんありましたので、今回はその中から、特に印象に残ったことを少し紹介したいと思います。

■ 小さくつくることで、むしろ“豊かさ”が生まれる
伊礼さんが語っていた「空間を小さくして質を上げる」という言葉は、今の住宅づくりにとてもフィットしていると感じます。
物価高や建築費の高騰は、住宅業界にとって避けられない現実です。
その中で、ただ広さを追い求めるのではなく、必要な空間をぎゅっと凝縮し、その分ディテールや素材、光の扱い方に手をかける。
そうすることで、広さ以上の“居心地の良さ”が生まれるという考え方です。
そして性能をしっかり確保することで、身体にも優しく、日々の暮らしがより快適になる。
「小さくて豊か」という価値観は、これからの時代のスタンダードになっていくのではないかと感じました。

■ 小さな空間を豊かにするための設計の工夫
セミナーでは具体的な建築事例や寸法の話も多く、実務に落とし込みやすいヒントがたくさんありました。 ここでは、私自身が特に印象に残った“豊かさを生む手法”をいくつかまとめてみます。
● ① 対角線の抜けをつくる
小さな部屋でも、視線が斜めに抜けるだけで空間の広がりが生まれます。
壁の位置や開口の取り方、家具の高さを丁寧に整えることで、数字以上のゆとりを感じられる。
● ② 家具の重心を低くする
背の高い家具を置かず、造作で低めにまとめることで、空間の“圧”が消え、落ち着きが生まれます。
伊礼さんの住宅がどこか静かで心地よいのは、この重心のコントロールが徹底されているからだと実感しました。

● ③ まわれる動線を意味を持ってつくる
ただ回遊できるだけではなく、 「視線が外に抜ける」「気持ちが切り替わる」 といった“体験”を設計することが大切。
動線そのものが暮らしの質を上げる要素になります。
● ④ 素材の質感を大切にする
左官の壁、無垢の床、障子の柔らかい光。
小さな空間だからこそ、素材の手触りや光のにじみ方がダイレクトに伝わります。
“本物の質感”は、広さ以上の豊かさをつくる力があります。

● ⑤ 外とのつながりを丁寧に扱う
どの部屋からも緑が見える、窓の高さを揃える、軒や庇で光を調整する。
外部環境を読み取り、室内に取り込むことで、空間は自然と深みを帯びます。

■住宅は「居心地の良い居場所の集合体」
伊礼さんが話していた「住宅は居心地の良い居場所の集合体」という言葉が、ずっと心に残っています。
大きなLDKが一つあるよりも、
・ちょっと腰掛けたくなる窓辺
・落ち着いて本を読める小さなコーナー
・家族が自然と集まるダイニング
・光がやわらかく入る寝室
こうした“小さな居場所”が積み重なることで、家全体が豊かに感じられる。
広さではなく、居場所の質が暮らしの満足度を決めるのだと、あらためて感じました。
■ これからの設計に生かしたいこと
今回の学びを通して、私は 「コンパクトでも、心地よく豊かに暮らせる家」 をもっと追求していきたいと思いました。
これからの設計に、今回の学びをしっかりと落とし込み、 住まい手が「ここが好きだな」と感じられる居場所を、一つひとつ丁寧につくっていきたいと思います。



