こんにちは、スタッフの吉田です。
間接照明と聞けば、ふわりと広がる優しい光を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
その中に、「建築化照明」という技法があります。
建築化照明(けんちくかしょうめい)とは、照明器具をあえて“目立たせず”、建築そのものと一体となるように仕込む間接照明の技法です。
具体的には、壁を照らす、天井を照らす、スリット上に照らす、などがあります。
見えないけれど、空間の印象を静かに決定づける──そんな“光の演出”に、今回は焦点を当ててみたいと思います。

●建築化照明×自然素材
建築化照明は光源が直接視界に入らないよう設計されているため、空間にやわらかく溶け込み、陰影の美しさや素材感を際立たせるのが特徴です。
例えば、木、土、紙、石といった自然素材と結びついたとき、光は単なる機能から「住まいの豊かな空間」へと昇華します。
空間に仕込まれたやわらかな光が、天井の木目をなぞり、漆喰の壁にほのかな陰影を生み、障子越しに淡く拡がる――そんな光の在り方が、自然素材の美しさを引き出してくれるのです。
無垢材(ヒノキ・スギ等)
光が木目にそっと触れると、陰影が際立ち、あたたかさと和みを空間に添え、深い安心感を生み出します。
漆喰壁
やわらかな反射が印象的な漆喰壁。穏やかな表面に伸びやかな陰影を描き、静謐さと品格、そして凛とした清潔感が宿ります。
和紙・障子
ほどよく透過する光が、空間の隅々までやさしく広がります。
石・タイル壁
細やかな凹凸が織りなす繊細な陰影が特徴です。素材本来の重厚な存在感と奥行きを静かに際立たせます。
●建築化照明を取り入れた設計のヒント
①天井ふところに組み込むコーブ照明
折り上げ天井の内側に光を仕込むことで、木の天井板に反射しやわらかな広がりを生みます。

②障子越しの壁照明
壁際に仕込んだ間接光が障子を透かして漏れ出すと、まるで月明かりのようなやわらかさに。

③階段の照明
足元がやさしく照らされて段差が見えやすくなります。
また手すり裏に照明を仕込むことで器具が目立たず、空間がすっきりと整います。

以上、建築化照明のご紹介でした。
建築化照明は単に明るさをもたらすものではなく、自然素材と調和することで、住まいの空気に奥行きと温もりを吹き込む光といえるでしょう。
日々の暮らしに寄り添う光として、ぜひ建築化照明を取り入れてみてはいかがでしょうか。



