こんにちは、スタッフの吉田です。
現代の住まいづくりでは、「便利さ」や「機能性」が重視される傾向があります。
一方で、素材が持つ本来の魅力や、人の感覚に寄り添う心地よさが、置き去りにされてしまうことも少なくありません。
けれども、本当に満たされる暮らしとはどのようなものでしょうか。
エムズでは、「触れる・見る・聴く・嗅ぐ・味わう」といった五感を通して感じる心地よさこそ、
住まいの本質だと考えています。
心と体にやさしく響く空間こそが、住まう人の感性を育み、日々の暮らしに深い満足をもたらしてくれるのではないでしょうか。
今回は、そんな五感にやさしい住まいを実現するための、設計のポイントをご紹介いたします。
●五感にやさしい住まい
見た目の美しさだけでなく、光・風・音・温度・湿度・香りなど、あらゆる感覚に心地よい空間を考えましょう。
①【視覚】やわらかな光と色合いで、目にやさしい空間を
自然の光を上手に取り入れることは、住まい全体の印象や居心地に大きな影響を与えます。
やわらかな光が室内にそっと差し込むだけで、空間は一気に明るく、清潔感にあふれた印象へと変わります。
そしてそれは、視覚的な美しさにとどまらず、私たちの心や身体にもやさしく作用します。
無垢材や漆喰、和紙といった自然素材は、光をやわらかく拡散させ、まぶしさを抑えた、目に心地よい空間をつくり出してくれます。
さらに、白熱灯や間接照明と組み合わせることで、自然光と人工光が調和し、時間帯によって変化する陰影の美しさが生まれます。
②【聴覚】|やさしい音に包まれる静けさの工夫
自然素材の壁や床は、人工素材に比べて音の反響を抑える効果があります。
音が優しく吸収される空間は、在宅ワークや子育ての場にも適しており、ストレスを軽減してくれます。
静けさとともに、暮らしの中で聴こえる自然な音に耳を澄ます時間が増えるかもしれません。
③【触覚】|肌に触れる心地よさで、ぬくもりを感じる
無垢材の床は、冬でも冷たさを感じにくく、夏場もベタつかず、季節を問わず快適な肌ざわりが魅力です。
また、漆喰や珪藻土の壁は、さらりとした質感で、空間全体にやさしいぬくもりと調湿効果をもたらしてくれます。
日常的に触れる場所だからこそ、肌に心地よい素材を選ぶことは、暮らしの満足度を大きく高めてくれます。
さらに、空間を通り抜ける自然な風も、快適さを左右する重要な要素です。
無垢材や自然素材の呼吸する特性と通風の工夫が合わさることで、空気が滞らず、常に新鮮で穏やかな室内環境が保たれます。
④【嗅覚】|本物の香りがもたらす、深い癒し
杉、ヒノキ、桧葉(ひば)などの国産材には、香り成分によるリラックス効果があるとされています。
たとえば、無垢の床材を取り入れた空間では、足元からふわりと立ち上る木の香りに包まれ、まるで森の中にいるような安らぎを感じられます。
それは人工的な芳香剤では決して味わえない、本物の素材だけが放つ自然の香りです。
さらに、無垢材の床は時間とともに香りがまろやかに変化しながら、住まいに寄り添ってくれるのも魅力のひとつ。
暮らしの記憶に寄り添い、家族の時間を優しく包む香りのある空間は、まさに五感にやさしい住まいの象徴といえるでしょう。
⑤【味覚】|空気の質が食卓の味わいを豊かにする
あまり知られていないかもしれませんが、室内の空気環境は、私たちの「味覚」にも密接に関係しています。
調湿性に優れた自然素材が取り入れられた住まいでは、空気が快適に整い、料理の香りや温度をより繊細に感じ取ることができます。
食事のひとときを、より豊かに、より美味しく演出してくれるのです。
また、調理後のにおいが翌日に残らないよう、空気が穏やかに循環し、自然に浄化される空間であることも、心地よい暮らしの大切な要素です。
以上、「五感に響く、やさしい住まいづくり」のためのヒントをご紹介しました。
自然の力や素材の魅力を取り入れながら、感性に寄り添う空間づくりをしたいですね。
皆さまの家づくりに、少しでもお役立ていただければ幸いです。