築110年をこえた住宅の外壁改修工事をしています。
事の始まりは外壁の剥離、落下。
建物は道路に面しており一部の壁が剥離して道路に落下しました。
さっそくお伺いして状況を見てみると大変!大変!
真上から外壁の一部が落下して木っ端みじんになっています。



壁の剥離が見られます。
早く手当てをしないと落下して通行人に当たれば大変です。
さっそく改修工事に着手します。
まずは現況調査から
一番高いところの壁は完全に浮いて今にも落下しそうです。

いたるところにひび割れ、外壁の浮きが見られます。



建物は旧家のこと江戸時代から富の象徴として造られていた「うだつ」が
見れます。
こうした造りようは貴重ですが年月の風雪には耐えられません。
当初は土塗り壁と漆喰で造られていたようです。
でも、その後の補修ではセメントモルタルでなされています。
セメント壁が剥離して浮いています。
とても危険な状態です。
地震で少し大きな揺れがあれば一気に落下しそうです。


結果、ずいぶん悪い状態です。
外壁改修にかかります。
崩れかかっていた「うだつ」を屋根も含めて外回りすべて剥ぎ取ります。
構造は木、竹、土で出来ています。
その厚さに驚きです。
芯となる柱は12センチほどですが仕上がった壁の厚さは40センチほどにもなっています。
中心の柱はしっかりしています。
外側の壁が割れて雨が入っていたと思われる部分の柱の一部は腐っています。


なんと柱の外に土壁を塗り重ねて10センチもあります。
荒壁を塗った上に何回も土壁を塗り重ねていったものです。
その上に仕上げとして漆喰塗り、これも厚さ2センチもあります。
今では考えられない技術です。
「蔵造り」では土壁を塗り重ねて20センチも30センチもしますが民家でこうした
造りようを見たのは初めてです。
修復には同じように伝統工法ですればいいのでしょうが、今ではこんな仕事がで
きる左官屋さんがいません。
当時の職人さんたちを尊敬します。
機械もない当時、木材の切り出し、製材、加工、現場での組み立てはすべて手作業です。
左官屋さんも土を運ぶのはリヤカー? 現場で土を練るのも手作業、大量の土です。
家の主要な構造は「木」「土」「漆喰」のすべて自然のものです。
(今、イランでの戦争で住宅業界も石油製品が途絶えて家が建てれなくなっていますが
自然のものでは無縁の話です。)
昔の建築は大工さんと左官屋さんと屋根屋さんがいたらできると言われていました。
今、そうした造りようはできないので大工さんの力で木軸をつくり今様の外壁下地を
して仕上げていきます。


こうした改修工事は大変です。
大工さんも木造建築を熟知していなければどこにどう釘を止めていけばいいのか
もわかりません。
傷んでいる外壁を取り除くにも無碍に扱えば取り返しのつかないことになり現状
を悪くすることになりかねません。
現況を見据えながらしっかりとした外壁に生まれ変われるよう取り組みます。



