エムズ通信 Aimss Journal

「健康な省エネ建築」

施工現場日誌

機械換気を使わないソリューション

ここ数十年、省エネ建築において「高断熱」「高気密」が推進されていますが、これによって新たな課題が生じてきました。

それは「空気の入れ替え=換気」です。

人間が生きるためは絶えず「新鮮な空気(酸素)」が必要になります。

また建物内での人間や動植物の呼吸で排出される二酸化炭素や、キッチンやバスルームで生じる「水蒸気」をしっかり外に出すことも必要です。室内で水蒸気濃度(相対湿度)が高くなると、結露が起こりやすくなり、カビが発生し人間の健康を害するからです。さらには、室内の家具やフローリングや壁に一般的に使用されている塗料や接着剤などからも人間の健康にとって有害な発揮性有機化合物(VOC)が放出されますが、それも換気によって外に出す必要があります。

上記のように、建物の換気には「酸素の補給」「水蒸気の外部排出」「有害物質の外部排出」という3つの目的があります。この目的と機能は、断熱・気密レベルが低い建物では、壁や窓の隙間からの自然換気と1日2回程度の窓の開閉で満たされますが、隙間がほとんどない高断熱、高気密の建物では、到底満たされません。そこで登場したのが「機械換気(=強制換気)」です。今日の省エネ建築においては、熱のロスを少なくする熱交換式の換気装置をつけることがほぼ当たり前になっています。

しかし機械換気システムは、装置内部、とくにダクト内に菌やバクテリアが発生するリスクを内包しています。いくつかのヨーロッパの国では、この問題意識から、プロによる年に一回の除菌作業が衛生上義務付けられています。(これには普通の一軒家で年に1,000ユーロ(約130円/ユーロ)前後のコストがかかります)。    

高断熱と高気密に重点を置いた省エネ化が実践されるなかで、人間の健康上のリスクが高くなり、それを解決するための機械が必要になります。しかし、その機械の使用において新たな健康上のリスクと追加コストが生じています。一つの問題を解決するために対策をしたことが、新たな問題を生み、さらなる対策が必要になっています。

機械換気の是非、メリット・デメリットに関しては、様々な議論や意見がありますが、まず最初に私が問いたいのは、省エネ建築において、機械換気を使わずに健康で省エネな住環境を創出できるシンプルな解決策はあるのか、ということです。

一番いい解決策は、問題を内包していることをやらずに済ませることなのです。

ドイツ:Arch Joint Vision社 池田憲昭氏

 

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